→会社の就業規則は作成されていますか?
また、法改正の度に変更されていますか?
・就業規則とは
就業規則は、「労働基準法」によって
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。変更した場合も同様とする。(法89条)
と定められています。
常時10人以上のなかには、
パート・アルバイト従業員や臨時雇も含みます。
会社のルールは、就業規則に記載されています。
まず、疑問点があったら会社の就業規則を確認してみましょう。
(会社により、パート・アルバイト従業員専用の就業規則が作成されている場合もあります)
就業規則と労働紛争
トラブルが元で退職した労働者は・・・
→公共職業安定所や労働基準監督署へ
相談に行くことがあります。
例えば
・最近従業員の出入りが激しい
・有給休暇の条件について、従業員に周知していない
・無断欠勤をしたまま、連絡がつかなくなってしまった
従業員がいる
・管理職なので、残業代、休日手当は支払っていない
・「就労前の聞いていた条件と違う」と従業員から
相談された
・職場の人間関係で悩んでいる従業員がいる
・最近トラブルで解雇(退職)した従業員がいる
このようなことがあった場合は大変危険です。
経営者の立場と、従業員の考え方は異なります。経営者の悩みを従業員はわかりません。反対に、従業員の気持ちも経営者は理解していないことが多いものです。
最近では、賃金未払残業などで多くのトラブルが発生しています。(2004年青森労働局8237件)大きな問題になると企業名まで公表されています。
働く人も、自己防衛のために法律にも詳しくなっています。退職した後に、賃金不払残業などで労働基準監督署に駆け込み調査が入り、是正勧告を受けることもあります。
企業と、労働者がお互いに気持ちよく働ける環境を構築し、働く人のモチベーションを向上させましょう。
企業のルールである就業規則は、作成されていますか?また、数年間作成されたままになっていませんか?
@ “やってはいけないこと”がはっきりするため従業員とのトラブルを未然に防止できる。
A あらかじめルールが決められているため、従業員が業務に集中でき、業績が向上する。
B 今まで支払っていた、支払う必要のない賃金等を抑えることができる。
C 助成金を申請するときに、就業規則が必要なことがある。
→就業規則がないともらえる可能性のある助成金ももらえない。
就業規則QandA
Q 就業規則の作成義務はどのような企業にあるのですか?
A 労働基準法89条では、以下のように定められています。
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。変更した場合も同様とする。
常時使用する労働者には、パート・アルバイト従業員も含まれます。作成した就業規則
については、労働者の過半数代表の意見を聞いて、労働基準監督署へ届け出ましょう。
Q 就業規則は作成して、会社の金庫の中に保存していますが問題があるでしょうか?
A 作成した就業規則は、労働者に周知させましょう。職場のルールは従業員が知らなければ、働く方も不安になりますし、してはいけないことをはっきり明文化することで従業員も自覚を持って働くようになるのではないでしょうか。
Q 就業規則を作成・届出していませんが、何か罰則はあるのでしょうか?
A 就業規則の作成・届出義務、労働者の意見聴取、行政官庁の変更命令などに違反した罰則は、30万円以下の罰金(労度基準法120条1号・3号)です。
Q 当社は従業員が6人です。就業規則の作成義務はないということでいいのでしょうか?
A 作成義務はありません。就業規則に変わるルールが整備されていれば問題ないのではないでしょうか。ただし、ルールが明文化されていた方が従業員も業務に集中でますし、もらえる可能性のある助成金のチャンスもなくなってしまいます。
就業規則未整備に潜む潜むリスク
A社では、正社員の他に、パート・アルバイト従業員を雇用しています。
ある日、長年勤務して今回退職することとなったパート従業員のBさんから、
「退職金はいつもらえるんですか?」
と聞かれました。
A社では元々パート従業員には退職金は支払っていませんでしたが、パート・アルバイト従業員用の就業規則は定めておらず、正社員用の就業規則には、「退職金を支給する」と定めてありました・・・。
→ 就業規則は、全従業員に適用されます。もし、就業規則で、パート・アルバイト従業員用のものを作成していなかったり、退職金の支給の除外についてきちんと定めていなかった場合は、トラブルが生じてしまいます。
割増賃金の疑問点については・・・
割増賃金の計算方法
時間外労働→2割5分以上
深夜労働→2割5分以上
休日労働→3割5分以上
時間外かつ深夜労働→5割以上
休日労働かつ深夜労働→6割以上
法定労働時間
1日8時間、1週40時間を超えて労働させることはできません。
特例として従業員10人未満の以下の事業については
1週44時間まで労働させることができます。
@商業
A映画・演劇業
B保健衛生業
C接客娯楽業
所定労働時間
会社で決められた1日や、1週間の労働時間です。
例えば所定労働時間が
午前9時始業 午後12時〜13時まで休憩 17時終業
である場合、労働時間は7時間です。
そして、業務多忙のため18時まで就労した場合労働時間は8時間です。
所定労働時間は超えていますが、法定労働時間は超えていないため、
割増賃金は支払われません。ご注意下さい。
残業に必要な手続はされていますか?
→36協定を締結せずに、時間外労働を行わせることはできません。
・36協定(労使協定)とは?
以下は労働基準法36条の時間外及び休日の労働に関する条文です。
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働組合の過半数を代表するものとの書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5項で若しくは第40条の労働時間又は前条の休日に関する協定に係わらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働することができる。
ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならない。
つまり、労働時間が1日8時間、1週40時間を超えて労働させたり、
休日に労働させるためには法律上は書面による協定を締結し、
労働基準監督署に届出なければならないというものです。
協定未締結での時間外労働・休日労働は、労働基準法違反です。
目的は過重労働防止による労働災害の防止です。
例えば、会社で従業員自らの手抜き作業によって、仕事が
間に合わない、といったことがあったときに、その従業員が
「私、今日用事があるので、これで帰ります。」
と言って帰ろうとしたとします。
そのときに、就業規則等で36協定の範囲内で業務上の事由が
あれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を
労働させることができる旨を定めていない限り
残業を命令することはできません
(法定労働時間を超えた場合就業規則の他に36協定を締結し、
届け出る必要があります。)
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